
私は小さい頃から自分を良く見せたって願望が強く、中学生の頃にはファッションに携わる仕事がしたいって漠然と考えるようになっていたんだ。
その頃はただただ「ファッション業界」に身を置いて華やかに楽しく仕事ができるもんだと本気で信じていたよ。もちろん一線で働く人たちは輝いているし、とても華やかだ。
高校に入る頃にはもっと具体的になっていってんだ。
- どこの専門学校に通って
- どこのブランドでデザイナーをしようか
もともと絵を描いたりするのは得意なこともあり、暇があれば自分で考えたデザインをデザイン画に起こしたりしていた。
あとはマテリアルやパターンの知識があれば、絶対にデザイナーとしてうまくいく!当時の私はそう考えていたんだよ。
私がアパレルデザイナーを志望した理由
そもそもなんで数多くあるファッション業界の中からデザイナーを目指したのか?という所だが、誰もが当たり前に考える妄想。私らしい至ってシンプルな理由たちだ。
デザイナーを目指した理由
- 業界内で一番華やかそう
- 自分が作った洋服を誰かが着ているのを街で見かけたい
- 儲かりそう
- パリコレに出たい
- 世界中を飛び回れる
何かを「やりたい」って時の動機付けなんてこんなもんだ。何より興味を持ったものに対して「行動」することが大切だからね。
デザイナーとして有名になって、ガンガン稼いで、ガンガンメディア露出していき華やかな世界で一生楽しく働いていく。これが当時の私が持っていた目標であり夢だった。
当時の私は、これらの願望を胸に高校卒業後は迷わず某ファッション専門学校へ進路を決めたんだ。
ファッション専門学校で驚愕の事実に直面した
ウキウキ気分で新しい生活をスタートさせた私だったが、勉強をしていく中で恐ろしいことに気がついてしまったんだ。
デザイン画を描くのは好きだったが、好き嫌いの前に大事な感性の部分。そう、圧倒的にセンスがなかったのだ。学校では与えられたテーマに対し、全員がデザイン画を描く。そこで出来上がった自分の作品と周りの生徒たちの作品を比べた時に毎回心をへし折られたんだ。
上手いと思っていた絵も大したレベルではなく、デザインレベルも低い。優しい方は「そんなことないよ。」と言ってくれるかも知れないが、そんなものは慰めだ。自覚できるほどにセンスがなかったのだ。
そこを乗り越えることができれば、もしかしたら違う世界に今いるのかも知れないが、私は乗り越えることができず努力することを辞めたんだ。
ここで目標を失ってしまった私は学業に力が入らず、悶々とした日々を送ることになる。しかし、ここで私の運命を変える「出会い」があったんだ。
かっこよすぎるアパレル販売員と出会った
悶々と過ごしている中、友人に連れられて、とある古着屋に行ったんだ。それも全然メジャーなショップではなくアングラ感漂う、こんなところにお店があったんだってレベルのところだ。
そこはオーナーが一人で運営している個人ショップで、オーナーが買い付けた商品を販売しているんだ。洋服だけでなく帽子やシューズ、アクセサリーなどファッションアイテムは一通り揃っていたね。
そのオーナーが選んだ商品はどれもヴィンテージ感溢れる「味」があるアイテムばかりで、オーナーが本当に好きなものだけを集めたんだろう、とすぐに分かったよ。
置いてある商品も素晴らしかったが、もっとも素晴らしかったのがオーナーの接客だ。個人でされていることもあり、かなりフランクではあったが、話もおもしろいし、話しているだけで勉強した気分にさせてくれる不思議な方だった。
そして自分が好きなものだけを集めたお店なので、商品を紹介してくれる時は心からおすすめしているのがわかるほどだ。
この出会いが、私をアパレルデザイナー志望からアパレル販売員志望へと運命を変えたんだよ。
専門学校を卒業後は某セレクトショップへ就職
専門学校を失業した私は某セレクトショップへ就職することになる。そこで販売員としての基礎や立ち振る舞い、もっと言えば綺麗に洋服をたたむ術などを身につけたんだ。
このセレクトショップでは数年ほどお世話になったが、ここが私の初めてのアパレル販売員としてスタートした場所だ。
今は時を経てラグジュアリーブランドで働いているが、私のこれまでの歴史をたどっていくと「かっこよすぎる販売員」に出会ったことが私の運命を変えたんだよ。
まとめ
私がアパレルデザイナーを諦め、アパレル販売員を目指した理由はこうだ。
- 学生時代に周りのレベルの高さに心をへし折られたが、
- 尊敬できるアパレル販売員に出会った
諦めない心も大事だが、固執するのは危険だ。結果論なので分からないが、私はデザイナー志望にしがみつかず、アパレル販売員になって良かったと心から思っている。
アパレル販売員になったことで出会えた人や身についたスキルもたくさんある。中でもコミュニケーション能力は抜群に上がった。私は人見知りだったが今では人見知りは全くしない。
これは間違いなく仕事の中で毎日いろんな方と会話してきた積み重ねだ。そもそも販売員に人見知りかどうかなんて関係ない。納得してもらい背中を押すことが仕事だから安心してほしい。
ちょっとした思い出話になってしまったが、考えが変わることなんて誰にでもあるし、それが「普通」だ。自分の考えに固執するあまり自分の「適正」を逃さないようにしてほしいんだ。
